2013年10月20日日曜日

Helmut Gernsheim(ヘルムート・ガーンズハイム)について

2013年に生誕100周年を迎えた写真史家のヘルムート・ガーンズハイム(日本では主にヘルムート・ゲルンシャイム、出身のドイツではギャンスハイムか)。『写真の歴史』など数多くの写真に関する書籍を執筆するほか、ジュリア・マーガレット・カメロン(キャメロン夫人)やルイス・キャロルなどの貴重な写真を多数収集、自然を写した世界最古の写真と言われるニセフォール・ニエプスの「ル・グラの窓からの眺め」の発見など、その活動は、同じく写真史家の巨人バーモント・ニューホールと双璧をなしている。
1963年、ヘルムートとその妻アリソンは、収集したコレクション(写真3万3,000枚、書籍4,000冊)をテキサス大学のオースティン校にあるハリー・ランソム・センター(Harry Ransom Center)に売却。そのハリー・ランサム・センターのYouTubeチャンネルで、ガーンズハイムのインタビューを幾つか見ることができる。

■Helmut Gernsheim as a Collector(コレクターとしてのヘルムート・ガーンズハイム)



(意訳)写真を収集するなんてことはまったく存在していなかったんだ。それは本当に変わったことだったんだよ。バーモント・ニューホールは、写真の収集について知っていたし、実際に集めてもいた。彼はロンドンに来たとき、私を収集の道に引き込んだんだ。誰も写真を収集する人がいなかったので、バーゲンプライスで写真を仕入れられることの素晴らしさを語ってきたよ。私は写真を収集することに興味はなかったんだ。なぜなら私の興味の対象は、印象派やアフリカンアートだったからね。違ったものを始めるにはお金もなかったし。だけど、ニューホールは、私が写真を保存するべきだと思っていたんだ。始めた時は興味はなかったんだが、すぐにのめりこんでしまった。今では、多くの人が大きなものから、小さなものまで写真の収集をそれぞれ行っている。美術館は現在のように写真を収集するなんてことを決して考えていなかったんじゃないかな。当時、美術館は、写真を集める私を愚かなことだと言ったが、今では、美術館に写真部門もあるじゃないか。やれやれ。

■Collecting Alone is No Good(ただ収集するのは良くない)



(意訳)ただ収集するのは良くない。もし、収集するのなら、自分が収集したものを知るべきだ。その収集品の年代や、誰が撮ったのか、その写真に関連するすべてのことにおいて、知ると好奇心が芽生える。私はすぐに悟ったんだ。ただ収集するだけでは、充分な仕事をしたことにはならないということをね。同時に情報を集めることなんだ。私が収集を始めた1945-1946年の頃、イギリスの美術館は、人手不足で、1日に6冊の本の貸し出ししか許可していなかったんだ。当時、私が住んでいたセント・ジョンズ・ウッドから遠かったので、しまいには、もし自分自身で本を買ったら、貴重な時間を無駄にしないだろうと思うようにさえなったんだ。

参考:
Helmut Gernsheim(Harry Ransom Center)
・The First Photograph(Harry Ransom Center)世界最古の写真
Helmut Gernsheim(Wikipedia)
Nicephore Niepce's House Museumニセフォール・ニエプス宅美術館


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